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2011年7月 2日 (土)

300年の音から

今回のコンサートで、大切にしたいことがもう一つあります。

200年ほど前の楽器を弾くことで、
人間の進化(!?)が何なのかをもう一度考えてみたい。

先週富山で楽器を演奏させていただいた時に、
単に自分の音楽欲(例えば、響かせたいとか厚みを持たせたいとか
歌いたいとか)が前面にでると、あっという間に音がきつくなるので
たくさん楽器と話していてそう思いました。

ちょうど1700年から1800年頃産業革命で製鉄技術が飛躍し、
現在の鋼製の弦の莫大な張力に耐えうるように
今のピアノのボディーには、鉄製のフレーム鋼鉄が埋め込まれています。
そのおかげで、豊かな音量と響きを得る事ができるのですが
果たして、そこに身をどっぷりと置いていていいのだか…。

産業革命をへて、地球の一員でしかない人間が
大きくなりすぎているのではと、漠然と考えていたので
こうして木々に囲まれ、世代も立場も関係なく肩を並べられるコンサートで
先入観なく、音でその事に向き合いたい。

それが、もう一つの大切にしていたい事です。

なんだか、そんな事を書くとなんだか神妙になりそうですが
そこはおマヌケ aiai いつもの寝ぐせのまま開演。

前半は、シュタインの1784年製(レプリカ)で、その頃に書かれたモーツァルト。

この楽器の2年後に書かれたアンダンテと変奏曲。
弾いていて、鍵盤の最高音から最低音まで、そりゃぁもう
生き生きと音が書かれたのが弾いていて伝わってきます。
さりげなく膝でニーレバー(現在のダンパーペダル)も用いています。
しかし…足が短いので(!?)足台を用意していただくハメに…

(1st.石田センセ 2nd. aiai )

購入したばかりのスマートフォンで撮影のため
実際よりシャーシャーきこえます。

(電話もメールもやり方ワカランのに、動画が撮れた!)

間で、楽器を持ってきて下さった竹田さんにも
楽器の解説をしていただきました。

Piano4 「ほら、シュタインのは3人で持ち上がるけど、
現代のピアノはびくとも動かないでしょ」 by 竹田さん。


休憩時間なんて・・・

Piano5

こんな豪快に鍵盤をはずしちゃって大丈夫かい!?
っというほどの大胆さ。


音の調律についても、
「1本の羊羹を、大きいお兄ちゃんにも小さな妹にも
きっちり同じ大きさに切ってあげるのではなく、
かわいい子だけを大切にして、他は我慢しなさいという
調律なんですよ。」と丁寧に解説をいただきました。

そのチューニング。
今回はヴェルクマイスターのI-3。

弾いていて色んな発見が有りました。

そう、実はト長調のこの曲より、もう一つのKV.358の方が
途中の和音がビックリするくらいスコーンっと響いて好きです。
こういう響きが、人の心にすぅっと入っていくんだろうなぁ。

(本番の動画がないため、前日の練習チェック動画です…)

その後、譜めくり少年、いえヴァイオリニストのひかるくんに
ヴァイオリンでも比較してもらいました。

ベートーヴェンのメヌエットを
1600年代に作られたPastaというヴァイオリンにガット弦を張って
そして
現在彼が弾いているヴァイオリンで。

ひかるくんにも、いつものテクニックに頼るのでなく
自分の音をよく聴いて、いい音を出すことにこだわってとお願いしたら
きちんと弾き分けてくれました。

お客さまからも、おぉーっとその違いにどよめきが。
「古い時代の音の方が、温かい。」という意見が多数きかれました。

ひかるくんありがとうございます!

こうして、楽器と対話をしながら実は自分自身の心と会話をし
また、そうして発せられる音で会場にいらっしゃるみなさんと会話をし…

とっても不思議な時間。
そのような後に弾く現代ピアノは、いつもと全く違う感覚でした。


現代ピアノの恵まれたボディーにふくよかな音。
そして方や、
微妙な木の振動をも直に感じ、心地よい響きとひずみのある響きが
とても人間らしく行きかう楽器。

もちろん、鋼鉄を得た時代に書かれた曲にはきちんと豊かな音や色彩が似合い
弾いていても楽しさが沢山あります。

そうだなぁ。今の自分は…

心地よい響きに耳と身体を置き、そこに身を置くならば
少ない羊羹を食べているいびつな音の1つ1つの個性にも
耳を傾けられる人間 (いや、サル!?) で有りたいなぁ。

こういう時に有って、音を奏でられるというのは本当に幸せな事です。
音一つ一つに、意味を持って表現に向き合う事の大切さを
自然と気づかせてくれるこの場に心から感謝です。

ありがとうございました。

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コメント

素晴らしい! やはりヴェルクマイスターですか??

ピアノも弾けず、ソルフェージュも満足に出来ない私には、羨ましくてたまらないのですが、
所謂音楽のプロの人達が、ピアノと楽譜というインターフェースを中心に音楽を取り扱っている
現状には少々疑念を抱いています。

例えば、サン=サーンスもこう言っています:
「ということで、我々の時代においてピアノの強力な影響を免れている人間などいるのだろうか、という問についても考えてみたい。この影響は、ピアノの誕生以前に、セバスチャン・バッハの『平均律クラヴィーア集』が道を開いたものである。和音の整律がシャープとフラットを同義とし、すべての調で演奏が出来るようになって以来、クラヴィーア[=鍵盤]の精神が世の中に浸透したのだ。[...] この精神は、異端である異名同音を際限なく伝播させることによって甚大な被害をもたらす暴君となった。この異端文化から、ほぼすべてのモダン芸術が出来することとなったのである。この異端文化はあまりに豊穣すぎるが故に、まったくもって嘆かわしいと言うことが出来る。しかし、この異端文化はおそらく遠い将来にではあるが決定的に消失する運命にあるのは確かだろう。それはこの文化を誕生せしめた進化がもたらす必然の帰結なのである。」Camille Saint-Saëns, Portraits et souvenirs, Société d'édition artistique, 1900, p.21.

岸高PTAです。お願いしたいことがあります。ご連絡いただければうれしいです。

いつかコンサート行きたいな♪東京で日曜日にある時があればお知らせ下さい(^-^)

黒木さま
サン=サーンスの言葉ありがとうございます。
こうしてピアノの歴史を追いながら、考える事は沢山あります。
そもそも弦楽器などと演奏するうちに考えるようになったのですが・・・

かといって、その後のスペクトル楽派のような音の追究も、
考えには共感しても、自分の居場所はやはり人間の愚かさがあるところです。
たまたま短い人生に存在しながら、本当に残っていくものが何なのかを
いつのまにか考えている、のんきな人間(いえ、サル?)です。ハイ。

東さま

先日、メールを送信させていただきました。
去年岸校の前を通ったおり、ずいぶん校舎が新しくなっていて
驚きました。

連絡に不備がありましたら、恐れ入りますがまたお知らせいただければ幸いです。

原田愛

アバターさま

東京、一気にあつくなりましたね。
東京で日曜日ですね。今のところありませんが、(なんか忘れてないかな・・・)是非!

どうぞ、お身体大切にされてください。

岸高PTAの東です。すみませんメール届いていません(^^ゞポリポリ
申し訳ありませんがもう一度送信をお願いします。
暑い毎日ですが暑さに負けずに!!

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  • 石田多紀乃&原田愛 Piano Duo
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